SMC-70
X1の販売開始とほぼ同時期に発売されたSONYのPC。この時既に定着していたパソコン(PersonalComputer)という言葉を敢えて使わずMicroComputerとしてデビューしました。当時高1だったと思いますが一風変わったキーボードしかもテンキーなしで専用CRTしかつながらず(アナログRGB)640×200で4色、しかも価格は228,000円・・・当時の私はこのパソコンを正当に評価できませんでした。今更ながら改めて見ると「やっぱりSONYだな!」とこの先進的なPCをいじり倒したくなります。
特長が固まりのようなPCですがやはり特筆すべきは拡張性です。右写真のキーボードの左側の電子部品が露出している部分がありますがここにはもともと蓋がついています。この蓋を外しオプションのFDDを被せるとアラッ不思議、元からFDDを搭載しているPCのように3.5インチ1DDのFDDを組み込めます。
また、そのFDDユニットの後部が写真のように引き出せ(伸びます)、3スロットの拡張スロットが顔を出します(さらにその左は電源です)。この独創性、やはり「SONY」です。
■SMC-70マザーボード・他
(1) マザーボード
(3) サブROMボード
(2) サブボード
サブROMボード上に漢字ROM(マスクROMそのもの:上側のボードの左から4個のROM)を搭載します。サブROMボードにはバージョンがあるようです。上側のボードでは後から追加したサブボードが載っています。このボードを基板内に取り込んだのが下側のボードだと思います。わからないのは初期型と思える上側のボードがマスクROM(右側2個のROM)で下側がEP-ROMであること。なにか不具合があって変えたのかあとでDUMPをとってみようと思います。
誕生から30年以上たった今日、このPCを動かそうと思ったときに困るのはその独自性です。なくなった規格であればインターネットで容易に見つけ出せますが独自の場合はその機種ズバリを記載した資料が必要になります。SMC-70は販売時このPCを使うのに必要な技術資料を標準で添付していた素晴らしいPCですが30数年を経過し、入手の際にこれらが付属していることは稀です。私もやっと資料を入手して今日、まさに30数年ぶりにSMC-70の画面に再会しました。SMC-70を動かそうとしているあなた、まず最初にやらなければいけないことはRGB変換ケーブルの作成です。下記にRGB端子のPINアサインを示します。SMC-70の画面に出会えるその時はすぐそこにです!
■SMC-70RGB端子PINアサイン(PC側面を直視し右上が1PIN)
№ | 信号 | 備考 |
1 | RGB/COMP | |
2 | アキ(ダミーキー) | |
3 | 625/525 | |
4 | RED | |
5 | GREEN | |
6 | BLUE | |
7 | COMP SYNC | |
8 | H.SYNC | |
9 | V.SYNC | |
10 | AUDIO OUT | |
11 | +5V | 100ΩPULL UP |
12 | +5V | |
13 | -12V |
№ | 信号 | 備考 |
14 | GND | |
15 | GND | |
16 | GND | |
17 | GND | |
18 | GND | |
19 | GND | |
20 | GND | |
21 | GND | |
22 | GND | |
23 | GND | |
24 | XPT | |
25 | +12V |
私は古いRS-232Cケーブルを持っていたので加工しました。SMC-70はDサブ25PIN端子を多用していてRGBの他にもプリンタとRS-232Cで使っています(ダミーPINが打ち込まれていて誤挿入防止対策は万全)。
RGBは2PINがダミーPINが打ち込まれているので作成するケーブルの25PIN端子の2PINをラジオペンチ等で抜いてください。15PINの端子がわからない場合はこのHPのMZのページを参照してください。
なぜか背景が緑なCP/Mです。
PSGボードで777用ソフトも(一部)動作!
まずは「画面を見たい!」の一心でRGB変換ケーブルを作成して電源を入れてしまいましたが本当は電源や基盤を最低限メンテナンスしたのちに行うべき工程です。画面も見たことですし、冷静さを取り戻し作業を進めることとします。
(1)電源のコンデンサを交換
SMC-70電源コンデンサ一覧(独自調べ、各自自分の環境に適用の際は再確認の事)
№ | 容量 電圧 | 備考 |
C7 | 220uF 200V | |
C9 | 4.7uF 250V | |
C12 | 1uF 160V | |
C13 | 2.2uF 160V | |
C15 | 100uF 10V | |
C102 | 1000uF 10V | |
C103 | 100uF 16V | |
C104 | 22uF 25V |
№ | 容量 電圧 | 備考 |
C105 | 22uF 25V | |
C107 | 10uF 50V | |
C108 | 10uF 50V | |
C110 | 22uF 25V | |
C202 | 47uF 25V | |
C203 | 100uF 16V | |
C302 | 330uF 16V | |
C303 | 330uF 16V |
(2)マザーボード(1-608-207-13)のコンデンサを交換
SMC-70マザーボードコンデンサ一覧(独自調べ、各自自分の環境に適用の際は再確認の事)
№ | 容量 電圧 | 備考 |
C1 | 330uF 16V | |
C2 | 10uF 16V | |
C3 | 10uF 16V | |
C4 | 10uF 16V |
№ | 容量 電圧 | 備考 |
C7 | 4.7uF 25V | |
C29 | 2.2uF 50V | |
C31 | 10uF 16V | |
C32 | 10uF 16V |
(3)サブボード(1-612-797-11)のコンデンサを交換
SMC-70サブボードコンデンサ一覧(独自調べ、各自自分の環境に適用の際は再確認の事)
№ | 容量 電圧 | 備考 |
C201 | 22uF 16V | |
C207 | 22uF 16V | |
C209 | 22uF 16V |
№ | 容量 電圧 | 備考 |
C213 | 10uF 16V | |
C214 | 22uF 16V |
(4)サブROMボード(1-608-964-12)のコンデンサを交換
SMC-70サブROMボードコンデンサ一覧(独自調べ、各自自分の環境に適用の際は再確認の事)
№ | 容量 電圧 | 備考 |
C101 | 22uF 16V |
SMC-70リリースの翌年、より個人利用に特化しコストパフォーマンスを向上させたSMC-777が登場しました。同機はSMC-70をベースにしておりますがPSG、JOYSTICKポートの搭載やROMの内容の違いでSMC-777用のソフトはSMC-70で動かないものも少なくありません。ここでは先人が行った対応を記録として残します。
(1)PSG、JOYSTICKの増設(SMD-70)
SMC-70用のPSG,JOYSTICKボードはサードパーティより販売されています。私は幸運にもこのボードを入手できましたので取り付けるだけで対応が終わりました。
実はこのボードをバラして見るまでSMCのPSGはこの当時の他のPCと同じAY-3-8910だと思っていましたが実際はSN76489でした。やっぱりSONY、一味違います。
(2)SMC-777用ROMの搭載(SMC-77)
SMC-70/777の数少ない情報源である「Oh! HITBIT」VOL3に”SMC-77”なる記事があります。SMC-70のROMをSMC-777のROMに切り替えることで777のソフトを動かそうというものです。
■ジャンパー加工
キーボード右下のJ2のジャンパーにポストを立てます。J2は基板裏面で1-2側にショートしていますのでここをパターンカットします。J2を1-2側にショートさせるとSMC-70標準ROM、オープンにすると空ソケットに配置する777のROMに切り替わります。思ったより高さがないためジャンパーポストはクリップで引き出してスイッチを取り付けました。
■SMC-777ROM設置
SMC-70には128kbitのROMが搭載さていますがマニュアルにとると64kbitROMでの実装も意識しているらしくIC28が空ソケットになっていてJ2の設定で切り替えるようになっています。ここ(赤枠)にSMC-777のROMを組み込みます。