PC-88VA3


1.特長

PC-88の最高峰、PC-88VA3です。

V50をコアとしたカスタムCPU(8080エミュレーションモード部分がZ80エミュレーションに差し替え)、2TDドライブ搭載、衝突判定付きスプライトに98互換の拡張スロットとPC-88との互換性を維持しつつかなり挑戦的なスペックといえます。基本的にアウトラインPC-98VM系のアーキテクチャに近いと考えています。

2.電源・基板の電解コンデンサとバックアップ電池交換

PC-88VA2/3の電源にはX68000の電源故障でもおなじみの四級塩電解コンデンサ(Long Lifeと書いてあるやつ:画像の赤っぽいメタリック感のある電解コンデンサ)が使用されています。幸運にしてこのマシンを手にした方はまず、このコンデンサを交換(含む基板洗浄)をお勧めします。

(1)電源のコンデンサを交換

PC-88VA2/3電源ボードコンデンサ一覧(独自調べ、各自自分の環境に適用の際は再確認の事)

 № 容量 電圧 備考
C1 5600uF 16V  
C2 5600uF 16V  
C4 1200uF 10V  
C6 1uF 50V  
C7 4.7uF 35V  
C11 470uF 25V  
C12 330uF 16V  
C21 1500uF 25V  

 

  容量 電圧 備考
C22 470uF 25V  
C24 1uF 50V  
C25 1uF 50V  
C31 330uF 25V  
C32 330uF 16V  
C45 33uF 25V  
C50 820uF 200wV  

 


(2)サウンドボードのコンデンサを交換

音が割れたり、画面の表示がおかしい(一部の色が表示されない)場合はサウンドボードのコンデンサ交換を行いましょう。

PC-88VA3サウンドボードコンデンサ一覧(独自調べ、各自自分の環境に適用の際は再確認の事)

  容量 電圧 備考
C2  10uF 25V  
C4 220uF 16V  
C5 220uF 16V  
C6 47uF 16V  
C7 47uF 16V  
C8 470uF 25V  
C10 220uF 16V  
C11 1uF 50V  
C12 4.7uF 25V  
C13 4.7uF 25V
 
C14 10uF 25V  
C15 10uF 25V  
C16 4.7uF 25V  
C17 4.7uF 25V  
C18 4.7uF 25V  
C19 1uF 50V  
C20 4.7uF 25V  


  容量 電圧 備考
C21 4.7uF 25V  
C22 4.7uF 25V  
C23 220uF 25V  
C24 4.7uF 25V  
C25 4.7uF 25V  
C26 10uF 25V  
C27 10uF 25V  
C28 4.7uF 25V  
C29 10uF 25V  
C30 3.3uF 50V  
C31 22uF 25V  
C32 33uF 25V  
C33 220uF 16V  
C45 10uF 50V  
C46 10uF 50V  
C47 10uF 50V  

 


このほか、コンデンサは変えたけどノイズがでる。音が出ない等の場合は以下の手順で確認していく。

①ヘッドフォン端子で音が正しく出ているか?

 出ていればサウンドボードは正常、マザーボードまたはスピーカーそのものの故障

 ※スピーカー交換の場合

  77mm径、1.5W 耳付きのものをチョイスする。

  シャーシにスピーカー背面のマグネットを突き出させる穴が開いているがこちらの径が30mmなので注意の事

②オーディオOUT端子で正しく音が出ているか?

 方チャンネルしか音が出ない等の場合はIC4:4560回りもチェックしましょう。C8、C10辺りからの液漏れで結構被害を受けています。

③どの端子からも音は出ていない

 IC3のYM3016Dが逝っちゃってるケースがありました。

 

(3)音源チップが載っているボード(PWD-666)のコンデンサを交換

PC-88VA2/3音源チップ搭載ボードコンデンサ一覧(独自調べ、各自自分の環境に適用の際は再確認の事)

  容量 電圧 備考
  22uF 16V  

(4)マザーボードのコンデンサを交換

PC-88VA2/3マザーボードコンデンサ一覧(独自調べ、各自自分の環境に適用の際は再確認の事)

  容量 電圧 備考
C4 470uF 16V  
C7 22uF 16V  
C8 22uF 16V  
C9 22uF 16V  
C10 22uF 25V  
C11 22uF 25V  
  容量 電圧 備考
C12 22uF 16V  
C13 4.7uF 25V  
C14 10uF 16V  
C15 10uF 16V  
C16 1uF 50V  

(5)拡張スロットのコンデンサを交換

PC-88VA2/3拡張スロットコンデンサ一覧(独自調べ、各自自分の環境に適用の際は再確認の事)

封印されている第3スロットのコネクタ増設作業のついでに交換しちゃってください!

  容量 電圧 備考
C1 22uF 25V  
C2 22uF 25V  
C3 22uF 25V  
C4 22uF 16V  

 


(6)バックアップ電池を交換

過去に分解したVA2/3ではバックアップ用の電池から液漏れをしていました。電池の交換と周辺回路のダメージを確認してください。

3.システム拡張

(事前準備)拡張スロットの増設

PC-88VA2/3の背面には4枚の拡張SLOTカバーがありますが開けてみると11SLOTはコネクタが実装されておらず通常SLOTが2、専用SLOTが1の計3SLOTです。

 拡張したい内容は「メモリ増設」、「HDD増設」、「MO増設」、「ネットワーク接続」mの4テーマですが1テーマ1スロットに換算すると通常SLOTは2個なのでどう考えても足りなくなります。そこでまずはコネクタが実装されていない3番目のスロットにコネクタを実装して通常スロットを3つにします。

 

割り込み

  現状の割り当て 拡張方針
INT0 外部2TD SCSI
INT1 内部2TD
INT2 NETWORK
INT3  ー

SASI-HDD

DMA

DMAチャネル 現在の割り当て 拡張方針
DMA0 SASIーHDD
DMA1  未使用 未使用 
DMA2 FDD  FDD 
DMA3  2TD

(2)メモリ増設

PC-88VAではPC-9800シリーズ用のEMSメモリで利用可能なものがあります。

ここではBUFFALOのEMJ-4000Sでの設定例を記載します。

①スイッチ、ジャンパの指定

 SW1=0 SW2=5 JP1=E JP2=N

(3)SASI HDDの接続

①SASIボードの設定

 SASI-IFはPC-9801用のPC-9801-27を使用しています。

SW1-1 SW1-2 SW1-3 SW1-4 SW1-5 SW1-6 SW1-7 SW1-8
 ON  ON OFF OFF ON OFF  OFF   ON
1台目40MB 2台目40MB
SW2-1 SW2-2 SW2-3 SW2-4 SW2-5 SW2-6 SW2-7 SW2-8
 OFF OFF OFF ON OFF ON OFF  OFF
&hD6000~D7FFF(ROMアドレス固定)

SW3:1-8 4-5  PC-9801機種指定=その他

②変換番長の設定

 SASI-HDDはクラシックPC研究会の「変換番長」を利用しています。ID0:0とID0:1に40MBの

 領域を設定しています。

SW1

SW1-1 SW1-2 SW1-3 SW1-4 SW1-5 SW1-6 SW1-7※1 SW1-8※1
 ON  ON OFF OFF ON OFF  OFF   OFF
SASI SEC256 標準 40MB 通常 外部電源

※1:初期の変換番長(非PRO版)ではSW1-7とSW1-8は規定値でONですが途中版からSW1-7はベンダー機器IDの加工、SW1-8はバスパワーモード設定が割り振られています。

SW2

SW2-1 SW2-2 SW2-3 SW2-4 SW2-5 SW2-6 SW2-7 SW2-8
 ON OFF OFF OFF OFF OFF OFF  OFF
ID0:0とID0:1に40MBを割り当てる

(4)SCSI+NET複合ボード「IF-2771-ET」

① ネットワークドライバの作成

ネットワークドライバはPC-98用のとVA用のパッチプログラムvapatch.comを同じでフォルダに配置、パッチプログラムを実行し88VA用のネットワークドライバ「IF27PDVA.COM」を生成します。この作業はVA上で行います。

 

②ボードのCONFIG

IF-2771-ETのネットワーク部分のCONFIGは専用のユーティリティを利用して行いますがこの作業はPC-98上で行う必要があります。以下注意ポイントです。

 ・ネットワークの割り込みはINT2を設定する(VA3はデフォルトのINT1のままだと内蔵2TDに干渉する

 ・I/Oアドレスはデフォルトで大丈夫

なぜかSCSI部分はディップスイッチで設定する

 ・SCSIの割り込みはINT0で大丈夫(万が一外付けの2TDを増設の場合は干渉するので注意)

 ・I/Oアドレスは0CCXHを使用する

 ・DMAはVA3の場合はあまりがない(VA2ならDMA3でいいはず)

 ・DMA転送は利用できないのでFIFO転送を使用する(VA2はDMA転送の設定可)

 

③CONFIG.SYSへの組み込み

 ・CONFIG.SYSにPCPAT.SYSとMSE312.SYSを組み込む

 ・IF27PDVA.COMはCONFIG.SYSではなくautoexec.batに組み込む

 ・TEENEをautoexec.bat

 

《参考》PC-9801-55系のボードを利用する場合はI/Oアドレスを0CC0H,0CC2H,0CC4Hに設定。

※以上までの作業でドライバの組み込みが終了。ROUTEコマンドによる動作確認では動いている風

 しかし・・・ブロードキャストされていない風・・・確認続行中

 

4.その他

①スクリーンエディタの使い方

88VAのOS「PC-Engine」ではスクリーンエディタが最初から内蔵されています。

利用法:EDIT ファイル名

機能 操作
保存 [f10]
強制終了 [停止] または [CTRL]+[C]

②修理メモ

症状 確認内容
画面が出ない 背面のV切替スイッチの接触不良を確認する
PC-Engineが起動途中で止まる

リアルタイムクロックが止まっている可能性あり。EC-Engine1.0は立ち上がるかもしれないので注意。

RTCのトリマコンデンサをグリグリしてみる。多分R-Typeが立ち上がらないのも同じ原因と思われる。

R-TYPEが立ち上がらない もしR-TYPEが立ち上がらず時計表示が「2000年00月00日 00:00:00」だったらカレンダーIC付近をチェックしてみよう!ちなみにICはuPD4990C。
三つ目になる FM音源が載っているボードの接触を確認する(このボードが接触不良だと三つ目になるみたい・・・)